外国人の方が、在留期間を制限されることなく日本に永住すること
永住許可は、在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に、法務大臣が与える許可であり、在留資格変更許可の一種と言えます。
永住許可を受けた外国人は、「永住者」の在留資格により日本に在留することになります。
永住許可を取得すると、在留期間は無制限となり、就労制限がなくなります。
なお、帰化(日本国籍の取得)とは異なり、永住許可と取得したとしても国籍は変わらないため、日本国民と全く同じ権利とはならず、選挙権、被選挙権、パスポートの取得等において一定の制限を受けます。
その他、一定期間を超えて日本から離れると永住許可がなくなる、退去強制の対象ともなり得ます。
日本には、就労ビザを取得して働いている外国人や、日本人・永住者等と結婚して暮らしている外国人がたくさんおられます。
もっと安心して、日本で生活したい。
在留資格の更新等の面倒な手続きを気にすることなく、これからも長く、日本で暮らしたいと思う外国人も多くいらっしゃるでしょう。
そのような場合には永住許可を取得することをお勧めいたします。
以下に、永住許可を取得することのメリットをご説明します。
永住許可を取得すると在留期間の制限はなくなりますので、在留期間の更新も必要なくなります。
在留資格にはそれぞれ在留期間が設定されています。
引き続き日本に在留することを希望する場合は、その在留期間が満了するまでに在留期間の更新をする必要があります。
在留期間の更新は申請したとしても必ず許可されるとは限らず、希望どおりの在留期間を与えらないこともあり、また、その手続きの煩わしさ等からも、在留期間の更新から解消されたいと願う外国人は少なくないのではないでしょうか。
永住許可を取得すると、就労制限がなくなります。
資格外活動許可等の就労時間や在留資格による就労内容の制限を気にすることなく働くことができるようになります。
たとえば、在留資格により許可されていなかった業務内容への転職や、現場作業や単純作業に就くこともできるようになります。
在留資格の種類により、その在留資格の範囲内でしか就労できなかったり、就労そのものができなかったりします。
永住許可を得ている外国人は、少なくとも10年以上日本に在留し続けているか、それより短くても信用に足りる人間であることが見込まれます。
そのため、日本人と同等に扱いっても差し障りはないということで、銀行等での住宅ローン等を組みやすくなります。
永住許可を取得すると信用度合いが日本人とほぼ同じとみられるので、外国人ということでこれまでハードルが高かったことでも日本人と同等の扱いをしてもらえるようになり、日本での生活はしやすくなります。
ただ、すべて日本人と同じ扱いになるわけではなく、参政権などは与えられませんので、もし日本の政治に参加したい場合には帰化を目指すことになります。
外国人は日本で起業をする場合、通常は経営管理の在留資格を得て行うことが必要となります。
しかし、経営管理ビザを得るためには、会社設立、事業計画の立案、事業資金の工面等、様々なことをクリアしなければなりません。
永住の許可を得ると、自由に日本で事業経営が行えるようになります。
経営管理ビザを取得するには、基本的に500万円以上の資本金が必要とされますが、永住許可があれば日本人と同様に、資本金500万円以下での会社設立も可能です。
日本人、永住者等と結婚されている外国人の場合、万が一、配偶者と離婚する、死別することになると在留資格の変更をしなければなりません。
引き続き日本にいたいと思っても、必ずしも在留資格の変更が許可されるとは限りませんし、在留資格を変更したことでこれまでと同じ仕事を続けることができなくなる可能性があります。
永住許可を取得していれば、このような場合であっても、在留資格を変更する必要はありません。
就労ビザを持つ外国人が配偶者や子どもを海外から日本に呼び寄せる場合、家族滞在ビザを取得する必要があります。
家族滞在ビザでは原則就労することができず、就労を希望する場合は資格外活動許可を得る必要があります。
資格外活動許可では週28時間までの就労制限があり、オーバーワークすると家族滞在ビザの当人はもちろんのこと、家族を呼び寄せた外国人本人にも、今後の入管への申請に悪影響が及ぶ可能性があります。
永住許可を取得すれば、その配偶者や子どもは永住者の配偶者等の在留資格へ変更が可能となります。
そうすると、就労制限がなくなり、自由に働くことができるようになります。
永住許可を得ても変わらないことがいくつかあります。
以下、ご確認ください。
永住許可を得たからといって何をしてもいいわけではなく、日本の法律や一定のルールを守る必要があります。
将来的に帰化を目指すのであれば、永住許可の所得後もマイナスとなるようなことは避けていただき、きちんと日本での生活を送っていただきたいと思います。
永住許可を取得した後も外国籍のままであるため、在留カードは常に持っていなければなりません。
その在留カードには有効期限があり、更新が必要となります。
更新自体はさほど難しくはありませんが、有効期間である7年が過ぎる前に更新しなければいけませんので、ご注意ください。
永住許可を取得した後も外国人である以上は、日本から出国する際には再入国許可、みなし再入国許可が必要となります。
再入国許可を得ずに日本を出国すると、日本を出た瞬間にせっかくの永住許可が消滅してしまいます。
永住許可を取得したとしても外国人なので、罪を犯して懲役刑等になれば、退去強制の可能性が出てきます。
永住 | 帰化 | |
---|---|---|
申請先 | 入管 | 法務局 |
申請手数料 | 8,000円(許可時) | 不要 |
審査機関 | 約4ヶ月 | 約1年 |
国籍 | 母国の国籍のまま | 日本 |
日本の戸籍 | 自己の戸籍は持てない | 自己の戸籍を持てる |
再入国許可 | 必要 | 不要 |
退去強制 | 適用を受ける | 適用を受けない |
根拠法令 | 入管法 (出入国管理及び難民認定法) |
国籍法 |
永住許可申請に必要となる主な書類をご紹介します。
申請者ご本人やご家族の状況、職業、収入、財産、生活の状況等によって必要書類は異なります。
※ 具体的にどのような書類が必要となるかは、ご依頼いただいた後、当方にて判断して、ご説明させていただきます。